森づくり活動レポート:2022年10月10日「モニタリング調査」

レポート

「2022年度 親子でつくろうトンボの楽園 in 修善寺」と題してトンボの生息地(ビオトープ)を作るイベントを開催していきます。トンボが生きられる環境をつくるために池づくりや沢の整備を行ってまいります。整備の前後でトンボの生息状況がどのように変化していくのかを把握するために、施工前のモニタリング調査(生物調査)を行いました。

いつもお世話になっているネイチャーガイドでありビオトープ管理士である馬場さんにお願いしました。既存の池と、これから池として整備していく場所をそれぞれ調査しました。

整備を予定している池は以下の図面のようになっています。それぞれの池の調査結果を以下に記します。

まずは既設の池から。2021年度(2022年3月)に整えた池、通称カエル池です。

カエル池
  • オニヤンマ4
  • オオシオカラトンボ12
  • ヤブヤンマ3
  • タカネトンボ3
  • サワガニ1

この森で確認されている4種のトンボの幼虫が安定して確認される結果となった。

次にA池。沢の最下流部、砂防ダム前の池です。

  • フタスジモンカゲロウ2
  • オニヤンマ2

沢の最下流部にあたる池Aは、山と里を隔てる砂防ダムに接している。長年の土砂や枯れ木の堆積によって沢筋が埋もれ、砂防ダムの排水口周りにわずかな水たまりが残る程度であった。そこからは上流から流下して来たと見られるオニヤンマ2個体が発見された。

次にB池。二筋の流れが合流する場所にある池です。

B池
  • オニヤンマ4
  • クロスジヘビトンボ1

沢の合流点の下流にある開きで、適度な流速がある砂泥底の環境であった。流れを好むオニヤンマがすでに産卵に利用しているようで、4個体まとまって見つかった。また、水質階級の指標生物のヘビトンボの幼虫(クロスジヘビトンボ)も見つかった(階級は最もきれいなⅠを示す)。

C池。イノシシのヌタ場と化している場所です。

C池
  • 生物確認なし

現状では泥地で、イノシシによりヌタ場として利用されている痕跡があり、生物は見つからなかった。

D池。流れの途中の沢幅の広がりのある場所。

D池
  • 生物確認なし

沢のカーブに位置する淵の地形になっているが、上流からの土砂や枯れ葉が溜まり中洲のような形となり、水深も5㎝未満で生物は確認できなかった。

E池。土手の湧き出し口の前の水たまり箇所

  • 生物確認なし

カエル池の近傍にある、直径1mに満たない小規模な水たまりで、落ち葉が堆積し水深も最深部で5㎝ほどあることから、すでにトンボが利用していることが期待されたが、ヤゴがみつかることはなかった。

まとめると以下のような結果となりました。

カエル池オニヤンマ4
オオシオカラトンボ12
ヤブヤンマ3
タカネトンボ3
サワガニ1
A池フタスジモンカゲロウ2
オニヤンマ2
B池オニヤンマ4
クロスジヘビトンボ1
C池生物確認なし
D池生物確認なし
E池生物確認なし
モニタリング調査まとめ

カエル池に集中しているトンボたちは、羽化する前に共食いによって減少することが予想されます。複数の池を整えて、生息できる環境を分散することによって、羽化できるトンボの数と種数を増やすことを狙います。一年後にどのような結果となるか楽しみです。整備期間中も定期的に調査を行っていきます。

*本プログラムは一般社団法人 コンサベーションアライアンス・ジャパン「アウトドア環境保護基金」2022年度前期助成プログラムにより運営しています