森まなび活動レポート:2023年9月23日(土)「成果観察会 ~ 第六回 親子でつくろう トンボの楽園 in 修善寺」

レポート

「2022年度 親子でつくろうトンボの楽園 in 修善寺」の第六回「成果観察会 」の森まなび活動(里山の環境教育活動)を開催しました。今回は事業年度の締めとなる最終回です。昨年末から子供たちと一緒に取り組んできたトンボのビオトープづくりの成果を観察しました。6組11名様での開催となりました。写真にて当日の様子をお伝えします。

今回は、これまでの5回のイベントに参加してくれたリピーターの子たちばかり。自分たちの作った池をひとつひとつ巡って、様子の変化を観察していきました。

この企画の当初の計画では、止水域(池)となる箇所を4つ作ることを目標にしていましたが、子供たちの自発的な取り組みのおかげさまで、最終的には目標を上回る6つの池をつくることができました。流れの中に水深や流速など特徴の異なる池ができました。

つぎに、それぞれの池にどれだけのトンボやほかの生物が定着したのかを観察するため、池のなかに網を入れてバケツに採集しました。

そして、採集した生き物をガイドさんの解説とともに観察しました。

ガイドさんの解説の一部を動画で紹介します。

ヤブヤンマのヤゴについて解説しています

さいごに、採集した生き物が、どこに何がどれくらいいたのかを数えて、表にまとめました。ガイドさんの解説とともに、1年間の振り返りと、成果の確認をしました。

1年前は、その前年に整備した1箇所の池(カエル池)を除いては、ほかに生物の姿を流れの中に確認できることはほとんどありませんでした。それが1年後の今回、みんながつくってくれたどの池にも生物の姿を観察することができました。

トンボにおいては、ヤブヤンマ、オニヤンマ、オオシオカラトンボ、タカネトンボが定着し、昨年までは見られなかったサナエトンボ類のヤゴも新たに観察されるようになりました。夏頃には、ヤゴが成虫になる際の抜け殻も観察され、水面に産卵する様子も確認することができました。1年前はヤゴは見れても成虫のトンボが飛翔する姿を見ることはありませんでしたが、今年は多数確認することができました。

生物種数も個体数も増加し、トンボビオトープをテーマにすすめてきた一年間の成果として十分な結果を得ることができました。トンボの生息域が拡がって、ヤゴ同士の共食いが避けられるようになり、今後、種数、個体数が安定していくことが予想されます。

参加してくれた子供たちの感想では、「いろんな生き物が増えて嬉しかった」「自分たちがやったことが成果として現れてよかった」「ヤゴの種類を知ることができてよかった」といった言葉を聞くことができました。

成果を確認できた一方、課題が無いわけではありません。トンボ類が生きていくためのエサ資源となる生物種の不足や、大雨ごとに土砂が流れて池が埋まって水深が浅くなってしまうなどの様子が見られます。今後のメンテナンスの必要性に加え、大雨でも崩れない安定的な地形を形成するために、土砂を流さず浸透する本来の土壌を回復させていく環境の再生が必要となります。

幸いなことにこのイベント開催中に、運営資金として頂いている助成金の次年度継続採択のメールをいただきました。次の事業年度(2023/10 – 2024/9)も、ひきつづきトンボビオトープづくりと、里山の環境再生に取り組んでまいります。ひきつづき、多くの皆様方に、ご参加・ご協力をお願い申し上げます。

*本プログラムは一般社団法人 コンサベーションアライアンス・ジャパン「アウトドア環境保護基金」2022年度前期助成プログラムにより運営しています