シンポジウムレポート:2026年6月7日「自然共生サイト認定記念シンポジウム 修善寺の里山から考える地域と生物多様性」

シンポジウムレポート:2026年6月7日「自然共生サイト認定記念シンポジウム 修善寺の里山から考える地域と生物多様性」 レポート
1. 開催のご報告

2026年6月7日、修善寺総合会館にて「自然共生サイト認定記念シンポジウム 修善寺の里山から考える地域と生物多様性」を無事開催することができました。

シンポジウムには75名、午後の里山ガイドツアーには29名の方々にお越しいただきました(いずれもスタッフ・関係者含む)。 ご参加・ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。

なお、本レポートとは別に、ご参加いただいた方・クラウドファンディングへのご支援をくださった方・本会会員の皆様には、当日の動画・発表資料を含む詳細レポートを公開しております。

2. 当日のプログラム振り返り

当日は伊豆市市長 菊池豊氏、静岡県くらし・環境部 環境局 環境ふれあい課 高塚雅文氏からのご挨拶に始まり、3名による発表・講演とパネルディスカッションを行いました。

菊池豊氏
高塚雅文氏

▶ 発表「半経寺山における活動と、自然共生サイト紹介」 修善の森プロジェクトの会・高橋洋平より、8年間の活動の歩みと自然共生サイト認定の意義、今後の展望についてお話しました。

高橋洋平

▶ 講演1「自然共生サイト認定制度について」 環境省関東地方環境事務所・原澤翔太氏より、自然共生サイト制度の概要と全国の認定状況、制度の今後についてご講演いただきました。

原澤翔太氏

▶ 講演2「ドコモの環境分野の取組み〜生物多様性保全への企業参画のポイント〜」 株式会社NTTドコモ サステナビリティ推進室・上村孝昭氏より、企業として自然共生サイトに取り組む事例と、企業参画のポイントについてご講演いただきました。

上村孝昭氏

▶ パネルディスカッション「自然共生サイトと地域の未来創造」 NPO法人ホールアース自然学校・山崎宏氏のコーディネートにより、半経寺山地権者の原京氏、一般社団法人美しい伊豆創造センター・佐々木恵子氏を加えたパネリスト6名で、地域・行政・企業・市民それぞれの立場から、これからの流域・地域づくりについて意見を交わしました。

パネルディスカッション
3. 里山ガイドツアー

午後は希望者を対象に、半経寺山にて里山ガイドツアーを実施しました。NPO法人ホールアース自然学校のガイドのもと、修善の森の現場を歩いていただきました。途中で雨が降り始めたためショートバージョンでの開催となりましたが、不安定な足場をご高齢の方も含めて歩いてくださったこと、ありがたく思います。

ツアー中は、多様な景観や大木に触れていただきながら、参加者の皆様から多くの質問・ご感想をいただきました。環境への関心の高い方々が多く参加されていたためか、鋭い質問、深い質問が多く、現地での対話の中から本会自身も多くの気づきを得る機会となりました。

開催後のアンケートでは「自然再生や保全維持には、いきもの目線が必須であることが現場でわかった」「ひとつひとつをコツコツと積み上げていらっしゃる姿に感銘を受けた」といった声が寄せられました。「子ども時代に小川で小魚や小エビと遊んだ風景を思い出した」というお声もいただきました。失われた風景の記憶を持つ方々にとって、修善の森が小さくとも何かを取り戻している場所として受け取られたのなら、嬉しいことです。

4. 感想と手応え

シンポジウムを終えて、明確な「手応え」を一言で言うのは難しいというのが正直な気持ちです。

ただ、当日いろいろな方からお声がけをいただきました。地元でワークショップスペースを営む方、教育現場での授業展開を考えている先生、引きこもりの方の活動の場としての活用を考えている方、希少種の保全・育成・活用での地域貢献を考えている方など、それぞれが自分の現場と引きつけて、半経寺山での取り組みを受け止めてくださっていたように感じます。質問票にも、半経寺山のこれからの活用、人と自然の適切な関わり方、水脈の定量化・評価の仕方と広域への展開、組織運営の持続性など、本会としても向き合い続けている問いが多く寄せられました。

アンケートでは、心に残るお声を多くお寄せいただきました。

  • 「演壇の皆さんがそれぞれ、自分の言葉で活動や環境への関わりについてお話しされていて、とても風通しが良く感じました。『自分事』という言葉と思いがよく伝わりました」
  • 「実践者である森の会を核に官民学産行政が一同に介したことに意味があったと思います。伊豆で森の守り人集団をつくって下さい」
  • 「活動の成果を目の当たりにして、頭が下がりました。やりたいという思いが強いと、ここまで現実を変えられるんだな、と勇気ももらいました」
  • 「それぞれの立場を尊重しながら、いろんな力が集まって新しい展開が始まっていく未来が見える気がしました」

中でも特に胸に残ったのは、かつての自然の豊かさを記憶に持っている方々のお声でした。そのうちのある地域住民の方からは、「子ども時代に楽しく遊んだ山がなくなってしまった」、「自然がすぐ近くにあるのに、そこで遊ぶこともその場に行くこともなくなってしまった」というお言葉とともに、「身近な里山の自然に触れることができる自然公園を、子供も大人も一緒に造ることはできないか」というご提案をいただきました。

こうしたお声に応えていくことが、本会の役割なのだと、改めて気づかされます。失われた自然を取り戻したいという切実な思いを胸に、これからも一歩ずつ里山を整えていきたいと思います。

同時に、本会の活動だけで流域全体の自然が回復するわけではありません。いろいろな方が、それぞれの場所で、それぞれの形で、自然をよりよくする取り組みを具体的に進めていってくださること。それが積み重なってこそ、流域全体の自然再生につながっていくのだと思います。

5. 謝辞

最後に、このシンポジウムの開催にあたり、多くの方々のご協力をいただきました。

ご登壇いただいた皆様、共催・後援団体の皆様、ご参加いただいた皆様、クラウドファンディングへのご支援をくださった皆様、そして当日の運営を支えてくださったスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

半経寺山が「自然共生サイト」として認定されたこと、そしてこのシンポジウムを開催できたことは、これまで本会の活動に関わり、支えてくださった多くの方々のおかげです。改めて深く感謝申し上げます。

いただいたご縁とご支援を糧に、これからも丁寧に活動を積み重ねてまいります。引き続き、修善の森プロジェクトの会の活動を見守っていただけますと幸いです。