第二回 里山の環境改善講座 「板倉工法の物置小屋づくり」1日目 レポート

第二回 里山の環境改善講座 「板倉工法の物置小屋づくり」1日目 レポート レポート

本年度(2023年10月~翌9月)より、里山の環境改善講座と題して、環境をより良くしていく取り組みを押し進めるため、講座形式での環境改善施工にも取り組んでいます。土壌の水と空気のめぐりを整える「大地の再生」の視点による施工法を実践作業でお伝えしてまいります。

1月に予定しておりました今回の小屋づくりは雨天のため順延し、2月の2日間にわたり開催しました2日間でのべ14名ご参加での開催となりました。当日の様子をレポートします。

今回は、前回の講座で整備した車道の一角に、里山整備のための道具などを収納する物置小屋を作りました。基礎石の上に柱を固定せず据え置く石場建てで、厚い板を柱や土台の溝に落とし込んで壁をつくる板倉づくりという工法での小屋づくりです。

小屋に使う材料は、基礎に使う石材も建屋につかう木材も、山主さん所有の古材をご提供いただきました。基礎石は今は採石されていない伊豆石です。

初日は大人のみで、基礎を据える造作から。まずは床掘りです。

石場建ての基礎、その下地構造が大事です。石の重み、小屋の重みによって土壌が圧密されて、地面の下の水の流れ、空気の流れが滞って土地を痛めてしまわないように配慮が必要です。小屋の重量を安定して支えてくれるだけでなく、できれば人が物を作ることが環境を良くしたり育てたりする方向につながるように、気づかいをしながら地面と関わっていきます。

焼杭を深く打ち込むのは、石の重量を支えてくれるよう、また水の縦の浸透性を作るため。床掘の穴の底には、さらに小さな穴を空けて炭と稲わらを差し込む。炭や稲わらに菌糸が絡みやがては周囲の植物の根が入り込んで、根が石と小屋の重量を支えてくれるように。その上に握りこぶしより大きなグリ石(割栗石)を縦長の方向で立て込んでいく。上に載るものの重量を分散して支えて地面を圧し潰さないように。そしてグリ石の隙間にも炭と藁を挿し、粒の大きさの揃った単粒の採石を目つぶしにいれていく。これらすべて水の通り道、空気の通り道を残しつつ、地面を圧し潰して土地を傷めないための気づかいです。

そしてその上に基礎石を据えていきます。

重たい石を何度も上げ下ろししながら、下地を調整して、位置と高さと水平を揃えて、石を据えます。大変さの割に出来上がりの様子はとても地味。とはいえ、子供といっしょに作るこのあとの小屋づくりが楽しみになる、とてもよい基礎ができあがりました。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

さいごに、子どもたちに先駆けて、土台と大引を仮置きしてみて、安定感を確認しました。地面に空気を通しながらふんわりと支える基礎は、足元が動くわけではないけれど、歩いてみると柔らかい雰囲気を感じます。おもしろいものです。

長くなるので2日目の小屋づくりのレポートは別の記事にまとめます。

*本プログラムは一般社団法人 コンサベーションアライアンス・ジャパン「アウトドア環境保護基金」2022年度前期助成プログラムにより運営しています