里山の環境改善講座「里山ナイトウォーク」レポート ~ トンボ・ビオトープ【3年目】第九回

里山の環境改善講座「里山ナイトウォーク」レポート ~ トンボ・ビオトープ【3年目】第九回 レポート

2025年8月24日()、「トンボ・ビオトープ・プロジェクト」3年目第九回講座を開催しました。今回は暑い盛りということで日中の活動を避け、夜の里山を歩いてみようというテーマで「里山ナイトウォーク」を実施しました。4組10名の方がご参加くださいました。

普段とは全く違う夜の里山。森の中は虫や動物たちの世界です。ヘッドライトを点けて、夜の生きものたちの神秘的な世界を探索しました。

夜の開催のため写真が少なめですが、特別な体験をレポートをお送りします。

夜の生きものたちとの出会い

ネイチャーガイドさんとともに、夜の生きものの気配を探しました。ビオトープの池では、これまで見られなかったマツモムシを発見!また新たな種が加わりました。水際には動物の足跡が残っており、資料を元にイノシシとシカの足跡(フィールドサイン)の見分け方を学習しました。

感動の羽化シーン!生と死のドラマ

里山の奥へと進むと、様々な昆虫を発見。なかでも感動的だったのが、二匹のセミの羽化する瞬間でした。

一匹は、きれいにまだみずみずしい羽を広げた美しいセミ。もう一匹は羽化したにも関わらず、無数のアリに襲われてもがき苦しむセミ。ほんの数十センチの羽化場所の違いが、生死を分けていました。

自然の厳しさと美しさを同時に目の当たりにした、忘れられない光景でした。

フクロウの羽の秘密に触れる

さらに進むと、フクロウの鳴き声が聞こえてきました。ここで、フクロウの習性や、音もなく飛ぶことができる羽の構造について、実際の羽を使って体験しました。参加者の皆さんも、フクロウの羽の不思議な感触に驚いていました。

夜の森の住人たちを発見

さらに先へと進み、たくさんの生きものと出会いました。コクワガタ、カナブン、ゲジ、ムカデ、カマキリ、ザトウムシ、大きなヤマアカガエル、オオセンチコガネなどなど。新鮮なシカの角研ぎ痕なども見られ、昼間とは全く違う森の表情を発見できました。

闇を体験!古来の感覚を呼び覚ます

中腹の広場では、全員のライトを消して、夜の生き物たちが過ごしている本当の暗さを体験しました。そして人間にも暗がりで生きていた太古の習性が体に残されていることを実感する、貴重な明暗体験を行いました。

また、ネイティブアメリカンに伝わる「フォックスウォーク(キツネ歩き)」も体験。森と一体化して静かに、かつ効率的に歩くための技術で、狩りにも通じる歩き方だそうです。普段とは全く違う歩き方に、皆さん新鮮な驚きを感じていました。

センサーカメラで動物たちの生活をのぞき見

最後に、動物たちがどこをどのように移動しているのかを想像して、センサーカメラを設置。「きっとこのけもの道を通って水場に集まってくるはず」と想像をめぐらしながらカメラを設置しました。

これにてナイトウォークは終了。普段とは全く違う感覚で森の中を歩く、特別な時間をご堪能いただけたのではないでしょうか。

センサーカメラが捉えた野生動物たちの姿

1週間後に確認したセンサーカメラの映像には、期待通り野生動物たちの姿が映っていました!

最初に現れたのはアナグマ タヌキサイズの動物でしたが、鼻の形や尻尾の長さから、どうやらアナグマのようです。

続いてはシカ。予想していたルートは、見えている二本の木の幹を左手に迂回してから水場に来るものでしたが、なんと直接降りてくるルートを選択!やはり水を飲みに来ている様子でした。

シカは母子でも登場し、この二頭は度々カメラに写っていました。

最後にイノシシ。単独で現れ、やはり水を飲みに来ています。

皆さんの予想通り、水場には複数の動物が水を飲みに集まってくることが確認できました。興味深いのは、違う種類の動物が同時に現れることはなく、お互いに距離感を保って生活していること。暗がりの中で動物たちはどのような世界を見ているのでしょう。センサーカメラがあると、さまざまな発見ができそうです。

次回はいよいよ最終回!

来月は、トンボ・ビオトープの最終回「成果観察会」を開催します。3年間の取り組みの集大成となる特別な観察会です。皆様のご参加をお待ちしております。

*本プログラムは一般社団法人 コンサベーションアライアンス・ジャパン「アウトドア環境保護基金」2024年度前期助成プログラムにより運営しています