8月28日(金)、静岡大学山岳流域研究院の「半島流域フィールド実習」を受け入れました。静岡大学と信州大学の大学院生あわせて11名、教員3名の計14名です。午前中いっぱい、「ホタルの里づくり」を進めている北西の沢で、里山を歩いていただき、整備作業に取り組んでいただきました。
森林、海岸、河川と、伊豆半島のさまざまな現場を3日間かけて巡る実習で、半経寺山はその最終日にあたります。そうした現場を見てきた学生たちを迎えることになりました。
里山ツアー
この日は時間の関係で短縮版とし、里山の入り口からトンボビオトープ、沢の水源へと歩きました。
お話ししたのはいつもの内容です。地上地下を流れる水と空気が生態系の形成に大きな働きをしていること。それが森から里、川そして海へと連綿とつながっていること。そのつながりがあるから、この小さな沢を保全することが流域全体に波及していくこと。そして人と自然が関わりのなかで成り立つ里山の空間のことなどです。
この日は沢でサワガニの子どもがたくさん見つかって、学生たちがずいぶん沸き立っていました。


設計と施工計画
ホタルの沢に移動して、「ホタルの里づくり」の取り組みの概要と現状の問題点を説明しました。
この日手をつけるのは、北西の沢の最下流部です。事前に測量と設計をしてありましたので、現地で設計の内容とその意図をひととおり説明しました。当日は時間がなく図面をじっくりお見せできませんでしたので、ここで改めて掲載しておきます。

現況図には、この区間の問題点を示しています。土砂が溜まって沢床が埋まっていること、土手の崩落、既存暗渠の埋没、そして生きものが三面張の河川へ流出してしまうことなどです。

施工図は、それぞれにどう手を入れるかを描いたものです。木杭を打って土の中の水の動き(浸透と湧出)を促しながら、石や丸太といった自然素材で流路と地形を安定させていきます。
整備作業
学生たちに取り組んでいただいたのは3つです。
ひとつは沢の末端の止水域づくりです。ここから先へ流されてしまった生きものは失われてしまうため、床掘りをして水が溜まる場所をつくり、生きものの最後の受け皿とします。
もうひとつは、水脈となる溝をつなぐ作業です。中途で途切れている土手際の溝を沢まで伸ばしてつなぎます。
そして、埋没して水が溢れてしまっている既存の暗渠を掘り直します。流路を定めて、人の歩く場所に水が流れ出るのを防ぎます。






大学院生らしく、みな考えながら手を動かしていました。体を動かすうちに活気溢れた表情になっていくのが、見ていて嬉しかったです。みんな精力的に作業をしてくれたおかげで、止水域は十分な深さまで掘れ、水脈の溝はつながり、水の溢れる箇所は流路が定まりました。
この日は掘削作業までと決めていましたので、仕上げの造作は後日に回しました。残りの施工と、その後の経過については別途ご報告します。
これから
先生方からは、作業を通じて学生たちが流域の問題を肌で感じられたと思う、というお言葉をいただきました。体を動かしてみて初めて分かることがあり、頭と体の両方を通して身につくものがある。災害にしても環境保全にしても、流域という単位で考えることが今の時代には大切で、それを肌で感じられる活動だと。今後とも関わらせてもらいたい、というお話をいただきました。
半経寺山は、修善寺温泉に隣接する8.1ヘクタールの里山です。巨樹林、竹林、薪炭林、人工林、そして2本の沢があり、多様な林相と水環境が歩いて回れる範囲にまとまっています。温泉街から歩いて数分という近さもあって、環境を学ぶフィールドとしては得がたい場所だと思っています。
大学の実習にかぎらず、学びの場としてこの山を使っていただく機会を、広く受け入れていきたいと考えています。ご関心のある方はお声がけください。
そして今回のように実際に手を動かしていただくことが、整備を前に進める力にもなります。沢はまだ途上です。これから3年かけて、ホタルが舞う沢に育てていきます。
この活動は第21回TOTO水環境基金のご支援をうけて実施しています。


